診療科・部門紹介

医療センター

心臓血管センター内科 循環器内科

基本理念

  • 急性期循環器疾患に対して救急治療を行い、地域医療に貢献します。
  • エビデンスに基づいた最新の専門的な循環器医療を提供します。
  • 低侵襲で高度なカテーテル治療を、最新の医療レベルで行います。
  • 全身の動脈硬化性疾患に対する治療(Global vascular care)を行います。
  • 院内他科と連携し、循環管理を必要とする内科系重症疾患に対して集中治療の中心を担います。

スタッフ紹介

循環器内科医師 河村 晃弘 ・ 橋村 達郎

診療内容

虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)

心臓カテーテル検査

心臓カテーテル検査とは、足の付け根の動脈・静脈、あるいは腕の動脈から、心臓の各部屋や血管(冠状動脈)に細く柔らかい管(カテーテル)を入れ、冠状動脈が狭くなっているかどうかを詳しく調べる検査です。狭窄病変があった場合は、冠血流予備能比(FFR)の測定を行い冠動脈形成術の必要性を判断します。

冠動脈形成術

再開させる治療です。バルーン(風船)を用いて開大する方法、ステントを血管内に植え込む方法、高速回転式のドリルを使って血管内を掃除したりする方法などがあります。

風船(バルーン)治療

バルーンカテーテルを冠動脈に挿入し、先端のバルーン(風船)を拡張して狭くなった冠動脈を広げる治療です。最近では、ステント留置後の再狭窄病変に対して薬剤溶出性バルーン(Drug-Elution Ballon;DEB)を使用した治療も行っています。

ステント留置術

冠動脈形成手術後の再閉塞や再狭窄のリスクを低減させるための治療法です。ステントという拡張可能な小さいメッシュ状の金属の筒を血管に留置して、血管の開通性を保持し再閉塞を予防します。留置術後、ステントは冠動脈内に留まり血管をささえ続けます。

バルーンとステントによる再灌流治療例

冠動脈が閉塞して発症する急性心筋梗塞に対して、再灌流(血流を再開)させるために、冠動脈形成術で治療を行った症例です。 治療前には、完全に狭窄していた部位(治療前矢印)が、冠動脈形成術により再開通しています(治療後矢印)。

ロータブレーター治療

高度に進行した動脈硬化病変では、多量のカルシウムが沈着して、バルーンで高圧を加えても拡張することができなくなることがあります。このような場合、ロータブレーター治療が施行されます。ロータブレーターとは、ダイヤモンド粉を埋め込んだ卵型の金属ヘッドを高速に回転させ、石灰化した病変をけずりながら拡張する方法です。

閉塞性動脈硬化症

動脈の内側にコレステロールがたまり、血管自体が硬く分厚くなって血行を悪くすることを「動脈硬化」といいます。動脈硬化は全身の血管病であるため、動脈硬化疾患である虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)や末梢動脈の動脈硬化により生じる閉塞性動脈硬化症、脳血管障害は互いに合併する頻度が高く、全身の動脈硬化を平行して評価し治療の対象とすることが重要です。

四肢血管拡張術

動脈硬化の進行により、特に足の動脈では血流が悪くなったり(狭窄)、血流が途絶えたり(閉塞)したりすると、足が冷たくなったり(冷感)、しびれたり、歩行時に下腿のふくらはぎの筋肉が痛くなったりする症状がでてきます。当科では、低侵襲のカテーテル治療を中心に治療を行っています。

不整脈治療

心臓の異常なリズムを不整脈といいます。不整脈には様々な種類が存在し、全く自覚症状を伴わない不整脈もありますが、不整脈を生じると、動悸・息切れなどの自覚症状の出現や、失神や心不全の合併、なかには突然死を生ずるものもあります。 不整脈の種類は大きく分け、脈が遅くなる徐脈性不整脈と脈が速くなる頻脈性不整脈などがあります。治療の基本としては、抗不整脈薬によるコントロールが基本となりますが根治治療のための植え込みデバイス治療やカテーテル治療も積極的に行っています。

徐脈性不整脈に対するペースメーカー植え込み

脈の発生源の働きが弱い『洞機能不全』や途中の電気伝導路が切断してしまう『房室ブロック』により、極端に脈が遅くなります。その為、全身に必要な血液が十分に行き渡らなくなり、めまい・ふらつきや意識消失、息切れといった症状がおこり、時には生命にかかわる危険な状態におちいることがあります。『ペースメーカー植え込み術』は、このような徐脈性不整脈(脈が遅くなる)に対する大変有効な治療です。

頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーション治療

カテーテルアブレーションは、直径2mm程度の管(カテーテル)を心臓の中に挿入し、高周波電流を通電して不整脈のもとになる心筋組織の焼灼を行い、不整脈を根治させる治療法です。治療の適応となる不整脈は、1)WPW症候群、2)房室結節回帰性頻拍、3)心房粗動、4)心室頻拍、5)心室性期外収縮、6)心房頻拍、7)心房細動です。ただし、同じ不整脈でも薬物治療で十分にコントロール可能な場合も多いため、治療の適応に関しては専門的な評価が必要となります。

心房細動に対するアブレーション治療について

心房細動とは、別名 絶対性不整脈と呼ばれ、不規則で早い脈拍が発生することで動悸や体調不良などの様々な症状を引き起こします。原因としては肺静脈の左心房付近から生じる異常な電気的興奮が伝達されることで心房細動が発生するといわれています。

治療方法としては、アブレーション治療(心筋焼灼術)があります。これは、治療用のカテーテルで不整脈の原因となっている異常な電気信号の発生箇所を焼き切る治療方です。心房細動では、肺静脈と左心房の伝達を遮断します。これを「肺静脈隔離」と呼び、治療方法として高周波アブレーションとクライオアブレーションの2つがあります。

高周波アブレーションは、心筋組織に直径2mm程のカテーテルを当て高周波電流を流します。心筋とカテーテルが接触する部位に、50℃前後の抵抗熱を発生させて限局的に心筋組織を変性させます。結果、異常な電気信号発生や伝達路の活性を消失させて不整脈を発生させないようにします。

クライオアブレーションは、-40℃~-50℃まで心筋組織を冷却させることで細胞障害を引き起こし、電気信号や伝導を生じないようにさせる治療方です。カテーテルは主に28mm径のバルーンカテーテルを用いて、肺静脈を塞ぐように押し付ける要領で、肺静脈周囲を冷却・隔離します。

 

心不全治療

心不全とは

心不全は、心臓の働きが不十分になり身体活動に必要な血液循環量を保てなくなる病態をいいます。症状としては、疲れやすい、歩行などの軽い労作で息切れする、横になると呼吸が苦しくなる、足がむくむ、などの症状が現れます。原因としては、虚血性心疾患・心筋症などによる心臓の収縮力の低下や、高血圧・弁膜症などによる心臓への負担の増加、徐脈・頻脈性の不整脈などの種々の原因により起こります。治療としては薬物治療をメインに行い、重症症例では以下に示すような侵襲的な治療も行ないます。

冠動脈の血行再建

冠動脈に狭窄部分があり、それが原因で心筋の収縮力に影響を与えている場合には、カテーテルによる経皮的冠動脈形成術(上記項目参照)や冠動脈バイパス手術(心臓センター外科のページ参照)などにより血流の再建を検討します。

ペースメーカー治療

心臓の中で電気信号の伝わる部位が機能していない徐脈性不整脈が心不全の原因となっている場合には、ペースメーカー植え込み術を行います。また、信号の伝わる順番がずれて伝わってしまうために心臓の収縮効率が悪くなり重度の心不全になってしまう場合には、心臓再同期療法(CRT)行います。約7割ぐらいの方で心機能の改善がみられます。

心臓リハビリテーション

心臓リハビリテーションとは

当院では、冠動脈疾患(急性心筋梗塞や狭心症)、心大血管外科手術後、および心不全など心臓病の方に、専門スタッフによる心臓リハビリを行っています。 心臓リハビリとは、医師、看護師、理学療法士、作業療法士など多くの医療専門職が集まり、低下した体力の回復・心臓病の再発予防・精神面(自信)の向上などを目指したチームによるリハビリ指導のことです。

心臓リハビリテーションの必要性

① カテーテル治療・開胸手術後の必要性
「狭くなった冠動脈を拡げたから治療は終了」と思っていませんでしょうか?狭心症や心筋梗塞は、冠動脈の動脈硬化が原因で起こる病気です。原因となる、生活習慣の調整ができていないと再度治療が必要になるケースが多くあります。心臓リハビリを行うことにより、動脈硬化の進行を食い止め、再発率の低下に効果があることが証明されています。さらに、心臓リハビリは合併症などによる死亡率を低下させることも解かっています。

② 心不全治療後の必要性
心不全とは、心臓のポンプの働きが弱くなって、血液を十分に送り出せない状態です。足の筋肉の働きを良くしたり、身体全体を活性化することによって、心臓に血液が返ってきやすい状態を作り、心臓への負担を少なくするために心臓リハビリを行います。

心臓リハビリテーションの内容

医師・看護師・理学療法士の指導のもと、歩行・自転車漕ぎなどの有酸素運動や下肢の筋力トレーニングを行ないます。運動の前後で、心拍数・心電図・血圧を測定し、その結果をもとに適切な運動の強さや注意点などをご説明しますので、安心して行うことができます。退院してからは、病前生活への復帰に向けた本格的なリハビリテーションが始まります。発病後2~3ヶ月は損傷された心臓が回復してくる時期ですので、強い運動は避け、無理をしない程度に運動することが重要です。入院に引き続き継続されることをお勧めします。
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