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専門外来

脊髄脊椎外科

脊髄脊椎外科とは、背骨の変性などで神経が圧排されることによる痛みやしびれに対して治療を行う診療科です。病状をそのまま放置していると、筋力の低下・しびれ・痛みにより生活や仕事に支障を生じてきます。しかし、正確な診断・治療を行うことにより、治癒や痛みの軽減する可能性はあります。

担当医

大西 諭一郎

  • 脳神経外科学会専門医・指導医
  • 脊髄外科学会専門医・指導医
  • 緩和ケア研修終了

二宮 貢士(非常勤)

  • 脳神経外科学会専門医
  • 脊髄外科学会専門医

診察日

  • 毎週月曜日 午後     :二宮
  • 毎週火曜日 午前・午後:大西
    ※通常の一般脳外科でも診療を行っています。

主な対象疾患

頸椎疾患 頚椎症性神経根症 頚椎症性脊髄症 後縦靭帯骨化症 頸椎すべり症
胸椎疾患 胸椎圧迫骨折 胸椎破裂骨折 骨粗鬆性圧迫骨折
腰椎疾患 腰部脊柱管狭窄症 変形性腰椎症 腰椎すべり症 腰椎分離症 腰椎椎間板ヘルニア
脊髄損傷 不全脊髄損傷 完全脊髄損傷 脊髄腫瘍 転移性骨腫瘍

脊髄脊椎の主な検査

MRI

MRIでは、レントゲンでは写らないような脊髄・神経根・馬尾神経や椎間板などを明瞭に描出することが可能です。当院のシステムでは、横向けであっても検査をすることが可能で、背骨 の変形したお年寄りのかたでも負担を少なく検査を受けていただくことが可能です。

CT

当院のCT装置は、体軸方向に320個の検出器を配置しています。体軸方向に細かいデータを収集する事ができ、任意方向からの再構成画像や三次元画像が得ることがで、脊椎の細かい骨情報を詳細に評価することが可能です。
また、得られた画像データをナビゲーションシステムに転送し、手術の支援もしています。

ミエログラフィー

脊髄腔の形状・交通性を診断するための画像検査です。腰椎から造影剤を脊髄腔内に注入し、造影剤の移動を透視・撮影します。主に、脊髄(もしくは馬尾神経)の圧迫病変の有無の評価に用いられます。立位撮影、動態撮影に優れており、手術方法の決定や手術部位の範囲などの決定に欠かせない検査方法です。右図のMRIでも脊柱管の狭窄は分かりますが、ミエログラフィーの後屈撮影では脊柱管が高度狭窄(→部)しているのがより鮮明に分かります。

治療方法の詳細

当院の手術の特徴としては、顕微鏡・ナビゲーションシステムを使用した低侵襲手術を行うようにしています。同じ病名・症状でも患者の病態に最適な手術方法を選択しています。

頸椎前方除圧固定術 (ACDF,ACCF)

頸部の前を皮膚切開して頸椎を展開した状態し、椎体骨と椎間板を削っていき脊髄を圧迫している病変を摘出します(右図②)。削り取った部分に骨移植を行い、金属インプラントを設置することで病変部を安定化させます(右図③)。

  • 対象疾患 → 頸椎症、椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症、後わん変形

頸椎後方除圧術

頸部の後ろを切開して頸椎を展開した状態にし、椎弓を観音開き式に左右に広げて圧排された神経を除圧します(右図②)。開いた部分に人工骨を入れて安定させます。

  • 対象疾患 → 頸椎症、後縦靭帯骨化症、脊柱管狭窄症

<頸椎前方除圧固定術>

  1. 手の痺れを主訴に受診。CT,MRIでC4C5の頚椎症と診断。
  2. 頸椎前面をプレートで固定、椎体部にインプラントを挿入。(→)
  3. 術後では、脊柱管のスペースが確保され脊髄が楽になっている。

腰椎後方除圧術

腰椎後方除圧術とは背中側から切開して、腰椎の病変を手術する方法です。手術用の顕微鏡を使用しながら神経の入る脊柱管の後方の骨を削ります。硬膜を圧迫する黄色靭帯を除去することにより圧迫を取り除きます。

  • 対象疾患 → 腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、変形性腰椎症

腰椎後方除圧固定術 (PLIP)

腰椎後方除圧固定術とは、手術用の顕微鏡を使用しながら神経を圧迫する骨・椎間板・靭帯を取り除きます。腰椎後方除圧術より広い範囲の除圧をする事ができます。除圧後に、椎弓根スクリューや椎間板ケージを設置することにより固定の補強を行います。右図参照

  • 対象疾患 → 腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、腰椎側弯症、腰椎分離すべり症

<腰椎後方除圧固定術>

  1. 間欠性跛行を主訴に受診、MRIで脊柱管狭窄を疑う。
  2. 脊髄造影では、後屈位で脊柱管の高度狭窄を認める。(→)
  3. 脊柱管の狭窄を後方より除圧、椎間板ケージと椎弓根スクリュー(画像の緑色の分部)を挿入して固定し不安定性を無くしている。

腰椎椎間板ヘルニア摘出術

手術後の傷を小さくすることにより、術後の回復を早めることを目的として専用の機材でアプローチをします。筋肉をよけておく筒状の開創器を設置します。開創器より手術用の顕微鏡を用いて骨一部を削ってヘルニアを切除します。

  • 対象疾患 → 腰椎椎間板ヘルニア

<腰椎椎間板ヘルニア摘出術>

  1. 腰椎MRIで、左外側型椎間板ヘルニアを認める。(→)
  2. 神経根ブロックで、症状の再現性を認めたので今回の病変と診断。
  3. 外側アプローチにより骨の一部(→)を切除し、ヘルニアを摘出。

脊髄刺激療法

痛みに対する治療法保の一つして、脊髄刺激療法(SCS)という外科的な治療方法が注目されています。痛みの信号は、脊髄を通って脳に伝わり痛いと認識されます。脊髄刺激療法は脊髄と脊柱の間(硬膜外腔)に、先端に電極のついた細い導線(リード)を挿入して、わずかな電気を流すことで痛みを脳に伝わりにくくする方法です。

  • 対象疾患 → 脳卒中後の疼痛、腰椎術後の疼痛、末梢血管障害による痛み、複合性局所疼痛症候群
これらの脊髄脊椎治療に関しては、大阪大学脳神経外科脊髄脊椎治療チームと連携をとり治療を行っています。
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